ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
急いでブラを引っこ抜くと、それを着けようかと思ったけれど面倒になってノーブラで過ごすことに決めた。


だから、それを持って部屋のドアを開けた。


ドアを開けるとLDが視界に広がる。


こんな誰もいないガランとした家の中は子供の頃からよく見る光景だ。


電気がつけっぱなしになっていたのでLDが明々としていた。


電気代がもったいない、節約、節約と思って電気のスイッチをオンからオフに切り替えた。


両親は共働きで家を留守にすることが多い。


残業しているのかと思いきや、最近よからぬことが発覚した。


父はごく普通の会社員、母はごく普通のパート主婦なのに二人とも職場に愛人がいた。


これはいわゆる、W不倫ってやつだ。


この事実を知って私は両親を軽蔑した。


不倫は嫌い。


大嫌い。


大体、不倫する人間はずるいと思う。


パートナーがいるのに恋人を作るなんてあんまりだ。


だから、私は一生しないと思う。


そんな不倫パパや不倫ママと一緒に住んでいるマンションのリビングを通り抜けて私は玄関近くにある洗面所の扉を開けた。


洗面所にある棚の一番上にバスケットがある。


これが洗濯物入れで、私は手にしていたブラをバスケットの中に入れた。


そのまま自室に戻ろうかと思ったけれど、鏡の中の自分と目が合ってしまった。





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