ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
「近々、ドライブ行かない?」


一瞬、『ドライブ』という言葉に耳を疑った。


また、遠藤さんから誘われた。


嬉しいけれど、唐突過ぎて面食らった。


「嫌?」


遠藤さんの声のトーンが変わる。


「いえ。とんでもない。嬉しい」


けれど、心の準備がまだできていない。


「それじゃ、今度その時にじっくり話そう」


「はい」


「それじゃ」


「はい」


電話を切る。


また、二人きりで会うことになった。


胸がわくわくする。


やっぱり、大人は違う。


優とデートした時は、フレンチレストランやドライブなんて考えられなかった。


今度、大好きな遠藤さんの車に乗ってドライブするんだ。


私をどこに連れて行ってくれるんだろう?


楽しみなんだけれど、気がかりなことがある。


それは、この前の落し物の口紅だ。





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