ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
それに、優は親切だ。


よく女の子に優しく接している場面を見る。


そんな時は、もうすでに他の子に狙われているんじゃないかと勘繰ってしまう。


だから、手放すのが辛い。


もし新しい彼女ができて、その子が私より可愛かったらと思うと悔しくてたまらない。


そんなことになったら絶対に腑に落ちない。


力ずくでも取り返そうとするだろう。


私はイヤな女だと自分でつくづく思う。


結局のところ、優を捨てることは今の私にはできないんだ。


「ハーッ」と意味もなく、洗面化粧台に手をついて鏡の方に顔を寄せ息を吹きかけてみた。


自分は何をやってるんだろうと思いながら白く曇った部分に指で何か描こうとしたら、すぐ曇った箇所はクリアになった。


やるせない。


心にぽっかり大きな穴が空いてしまったような気分だ。


その穴に風がビュービュー吹いている。


誰か私の心の穴を埋めて欲しい。


これがセックスで埋められたらどんなにいいだろう。


でも、実際は埋まらなかった。


現実は想像とは異なるということか。


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