ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
「まだ、返事してないの?」


「気が動転したんだよ。いきなりだったから、ビビったの!」


その時のことを思い出したのか、花音は真っ赤になった。


こういうところが可愛い。


「へー。よかったね。おめでとう」


私は心から祝福した。


そして、お弁当箱の中の赤いプチトマトを取って口に放り込んだ。


「でも、店長と店員じゃなくなるわけだから働きづらくなる」


苦い顔をしながら、花音が悩みを漏らす。


「いいんじゃない?」


私は軽い気持ちでアドバイスをしながら、プチトマトをさらに取って食べ続けた。


「店長と付き合うってどんな感じだろう? 結婚とか視野に入れてたりして?」


「どうだろうね。結婚、いいんじゃない?」


「うん。まー、結婚を意識して付き合うのも私的にはありかなーと」


「花音、夢ないもんね」


「あんたもね」


お互い、顔を見合わせて笑う。


現実主義の私たち二人には特に夢なんてない。


アイドルや女子アナになりたいなんて言っている子がいるけれど、無理だと思う。


世の中には、五万とそんな子たちがいるんだから確率的に無理だろう。





 


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