ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
私は無難かもしれないけれどOLか公務員、もしくは専業主婦になりたいと思っている。
その方が安定しているし、確実だ。
安心感がある。
夢なんて追いかけない。
ただ、社会のレールに沿って歩くのみだ。
それが、現実的な私と花音の生き方だ。
「あれ? その胸ポケットのそれは?」
花音が私のシャツのポケットの中に入れているルージュを指差した。
それは、例の真っ赤なルージュだった。
「あー。これは、この前にも話したと思うけど遠藤さんと関係ある女性が落とした口紅だよ」
「あー。それなんだ。見せて」
そう言って、花音がヒュッと私の胸ポケットからルージュを奪い取った。
珍しそうに見ている。
「どんな女なんだろう。すっごく気になる」
お弁当箱の中の卵焼きを箸で挟んで食べながら、花音に語りかけた。
「さあ? 付き合ってるんだから直接どんな女か聞いてみれば? っていうか、返したら? これ、人のもんでしょうが!」
「わかってるけど、返せない。返したくない。なんか執着してしまって、ついね」
「ハッキリさせておいた方がいいんじゃない? いつまで逃げる気?」
「だって、付き合って間もないのに女の話をして波風立てたくないじゃない?」
「うーん。わかる気がするけど誰の口紅か聞いてみる必要があるよ。遅かれ早かれ相手の女が何者か彼女として知る必要がある」
その方が安定しているし、確実だ。
安心感がある。
夢なんて追いかけない。
ただ、社会のレールに沿って歩くのみだ。
それが、現実的な私と花音の生き方だ。
「あれ? その胸ポケットのそれは?」
花音が私のシャツのポケットの中に入れているルージュを指差した。
それは、例の真っ赤なルージュだった。
「あー。これは、この前にも話したと思うけど遠藤さんと関係ある女性が落とした口紅だよ」
「あー。それなんだ。見せて」
そう言って、花音がヒュッと私の胸ポケットからルージュを奪い取った。
珍しそうに見ている。
「どんな女なんだろう。すっごく気になる」
お弁当箱の中の卵焼きを箸で挟んで食べながら、花音に語りかけた。
「さあ? 付き合ってるんだから直接どんな女か聞いてみれば? っていうか、返したら? これ、人のもんでしょうが!」
「わかってるけど、返せない。返したくない。なんか執着してしまって、ついね」
「ハッキリさせておいた方がいいんじゃない? いつまで逃げる気?」
「だって、付き合って間もないのに女の話をして波風立てたくないじゃない?」
「うーん。わかる気がするけど誰の口紅か聞いてみる必要があるよ。遅かれ早かれ相手の女が何者か彼女として知る必要がある」