ルージュ ~盲目の恋に溺れて~
誰であろうと、元カノは大人の女性に違いない。


遠藤さんは、赤い口紅が似合う大人の女性が好きだったんだ。


それなら、ちょっとでも高校生ではなくて大人に見られたい。


元カノには、何が何でも負けたくない。


だから、前の彼女よりも赤いルージュが似合う女になりたい。


私は花音の手の中にあったルージュを奪い返すと、それを唇に塗った。


スクールバッグからコンパクトミラーを取り出して唇から口紅が、はみ出てないかチェックした。


ミラーに映った自分の唇を見ると、ちゃんと塗れているようだった。


でも、赤いルージュは私には不似合いだった。


赤いルージュが似合うような美人になりたい。


だから、ファッションやメイクに気を遣わないといけない。


さらに、もう少しスリムになってスタイルを良くしたいからダイエットをしよう。


私は空になったお弁当箱を見た。


お弁当箱の蓋を閉じながら、明日から量を減らすことに決めた。


彼に見合う女になりたい。


そのためには、背伸びしてでもイイ女にならないとダメだ。


花音が首を傾げながら、人差し指を下唇にあててこう答えた。


「二人しか思いつかなかったよ。二十代の早乙女舞って作家と三十代後半の黒崎加瑠羅。他にもいると思うよ。ネットで調べたら、わかるだろうね」


早乙女舞と黒崎加瑠羅か。


名前だけだと実感が湧かない。


キレイな人なんだろうか?


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