君を救いたい僕ら―愛され一匹狼の物語―
「僕は一年の菅原悠里です」
小柄な少年がペコリと頭を下げた。
「あと、あそこで自分の世界に入っちゃってるのが川越将志。基本的にあんな感じだから気にしないで」
晶の声を聞き、川越はちらっと良人を見たが、すぐに視線を下に向けてしまった。
「すみません、遅れました~」
図書室に入ってきたのは一年生の槙沙也佳だ。
「彼女が槙さん。うちの部のエースよ」
晶の声に少女は顔を赤くした。俺はそれに続けた。
「名前だけの幽霊部員も大勢居るけど、だいたいこのメンバーを覚えてくれれば…」
「ちょっと!森村くんは?」
大声で割って入ってきたのは晶だ。
「森村くんって、学級会長の…?」
良人はすぐに気がついた。慎吾も実は文学部員なのだ。
「あいつは来ないよ。テニス部も忙しいから」
事実、慎吾はテニス部と学級会長の仕事が忙しく、文学部に顔を出す余裕などなかった。それでも晶には夏樹の言葉が気になった。
「渡会くん、森村くんと喧嘩でもしたの?」
部長は率直な質問を投げてきた。
「別に…」
「もう、男の子ってわかんないなぁ」
「そんなことより先輩は受験のことを頑張ってください」
「はぁーい」
定例会は各人の自己紹介と将志の魔術研究報告で幕を閉じた。
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