君を救いたい僕ら―愛され一匹狼の物語―
その日の帰り道、良人は夏樹に尋ねた。
「ねぇ、瀬名さんって誰?」
「瀬名は…うちのクラスの一員だった」
夏樹は静かに答えた。
「殺されたの?」
「まだ自殺か他殺かはっきりしてないんだ」
「森村くんは殺人って…」
「その可能性もあるけど、何ともね…」
夏樹自身、殺人事件である可能性は高いと思っていた。しかし、自分が疑いをかけられただけに、強くは主張できずにいた。
「どうして森村くんは怒ってるの?」
「森村は瀬名のことが好きだった。だから死んでしまってショックなんだよ」
「二人は付き合ってたの?」
真面目な顔をして尋ねる良人を見て、夏樹は少し笑ってしまった。
「まさか。告白したけど振られたんだ。瀬名には恋人が居たから」
「恋人って渡会くんなの?」
良人は質問をやめようとしない。しかし、良人の様子からは真剣さが伝わってくるので答え続けることにした。
「俺は瀬名と付き合ってなんかいないよ」
「でも、森村くんは…」
「瀬名は年上の彼氏が居るから森村とは付き合えないって話してたけど」
「で、それは誰なの?」
「残念ながら、誰なのかわからないんだ。瀬名は教えてくれなかったから」
「そっか…」
しばらく二人の間に沈黙が流れた。
「俺は…別に瀬名の友達ってわけでもなかった。けど、真犯人を捜してやりたいと思ってる」
「僕は渡会くんの力になりたい。手伝えることがあったら何でも言って!」
良人は胸をはって答えた。
「そうだな…一人では出来ることが限られてしまうし…来栖の力を借りることがあるかもな」
「僕は渡会くんの味方だよ。二人で真犯人を見つけよう!」
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