君を救いたい僕ら―愛され一匹狼の物語―
夏樹は延々と続く取り調べにうんざりしていた。
「目撃者がいるんだよ。早く認めた方がいいんじゃないの」
「知らない」
「お父さんのこと、外で待たせていいのかなー」
刑事は腕時計に目をやった。すでに中学生を取り調べるような時間帯ではなかった。
「また呼んだんですか、あの人のこと」
「嫌がることないだろう?優しいお父さんじゃないか。お父さんを悲しませないためにもねぇ…」
刑事の言葉に夏樹は首を横に振った。このままではやってもいない事件の犯人に仕立て上げられてしまう。そんなことになれば、裕之に迷惑がかかる。それだけは絶対に避けなければならなかった。
「あの人、俺なんかに関わらなきゃよかったのに」
その頃、警察署の窓口にはひとりの男性が立っていた。
「失礼ですが、どういったご用件で…」
窓口にいた警察官が声をかけると、男は笑顔で答えた。
「私は夕日町教会の来栖聖人と申します。こちらに渡会夏樹くんがいると思うのですが、そろそろ解放していただけませんかね?」
「そう申されましても…」
「彼は犯人ではありませんよ、絶対にね」
にこりと笑う聖人に、窓口の警官はむっとしていた。
「なぜ犯人でないと言えるんですか」
「それは、目撃証言が嘘だからですよ」
「嘘だなんて、根拠の無いことを仰らないで下さい。あなたこそ嘘をついてるんじゃないですか」
まくし立てる警官に、聖人は動じなかった。胸の十字をぎゅっと握り締める。
「神に誓って、私は嘘はつきません」
遠くから聞こえてきた足音に聖人は反応した。
「あ、夏樹くんのお父さんですね?」
聖人は振り返って微笑んだ。その顔を見て夏樹の父―浩之ははっとした。
「もしかして…」
「覚えていますか?私のこと」
「目撃者がいるんだよ。早く認めた方がいいんじゃないの」
「知らない」
「お父さんのこと、外で待たせていいのかなー」
刑事は腕時計に目をやった。すでに中学生を取り調べるような時間帯ではなかった。
「また呼んだんですか、あの人のこと」
「嫌がることないだろう?優しいお父さんじゃないか。お父さんを悲しませないためにもねぇ…」
刑事の言葉に夏樹は首を横に振った。このままではやってもいない事件の犯人に仕立て上げられてしまう。そんなことになれば、裕之に迷惑がかかる。それだけは絶対に避けなければならなかった。
「あの人、俺なんかに関わらなきゃよかったのに」
その頃、警察署の窓口にはひとりの男性が立っていた。
「失礼ですが、どういったご用件で…」
窓口にいた警察官が声をかけると、男は笑顔で答えた。
「私は夕日町教会の来栖聖人と申します。こちらに渡会夏樹くんがいると思うのですが、そろそろ解放していただけませんかね?」
「そう申されましても…」
「彼は犯人ではありませんよ、絶対にね」
にこりと笑う聖人に、窓口の警官はむっとしていた。
「なぜ犯人でないと言えるんですか」
「それは、目撃証言が嘘だからですよ」
「嘘だなんて、根拠の無いことを仰らないで下さい。あなたこそ嘘をついてるんじゃないですか」
まくし立てる警官に、聖人は動じなかった。胸の十字をぎゅっと握り締める。
「神に誓って、私は嘘はつきません」
遠くから聞こえてきた足音に聖人は反応した。
「あ、夏樹くんのお父さんですね?」
聖人は振り返って微笑んだ。その顔を見て夏樹の父―浩之ははっとした。
「もしかして…」
「覚えていますか?私のこと」