君を救いたい僕ら―愛され一匹狼の物語―
「次は森村くんね」
「僕は森村慎吾です。ほとんど部活には出てないんですが、SF小説を書いています」
爽やかな声で森村先輩が締めくくり、再び竹内先輩が立ち上がった。
「ありがとう。じゃあ、入部希望の二人にも聞いちゃおうかな。まずは槙さんから」
「はい」
沙也佳は胸を張って立ち上がった。彼女は自ら希望してこの部に入るのだから、瞳も輝いている。
「私は槙沙也佳といいます。母が作家をしているので、私も書いてみたいと思って文学部に来ました。よろしくおねがいします」
よく出来た挨拶に僕は戸惑った。僕はそもそもこの部活に入ると決めたわけではない。
「じゃあ、菅原くんにも聞こうかな」
「はい……。一年の菅原悠里です。さっき部長から話を聞いて見学に来ました」
緊張して上手く喋れずにいると、となりの渡会先輩が手を引いた。
「えっ」
座れ、という意味らしい。僕は促されるままに着席した。
「だから言ったでしょう、部長。菅原くんから他の部を見学する機会を奪ってどうするんですか。競争率の高い運動部だってあるんですからね」
渡会先輩は困惑している僕を庇ってくれているのだ。僕はその時、不思議な感覚にとらわれていた。
――おかしい。心臓がずっとドキドキと音を立てている。今までこんな気持ちになったことはない。
「わかったわよ。渡会くんは頭が固いんだから」
「ふざけないでください、部長」
「まあまあ」
間に入ったのは川越先輩だ。
「渡会くんの気持ちは分かるけど、菅原くんの気持ちをちゃんと確かめたほうがいい。ねえ、君はこの部活に入る?」
川越先輩が僕に問いかけた。何故かその時、自然と僕は首を立てに振っていた。
「決まりだね」
「よーし、新入生二人ゲット!」
竹内先輩は喜んでいるが、渡会先輩は不服そうだった。
「僕は森村慎吾です。ほとんど部活には出てないんですが、SF小説を書いています」
爽やかな声で森村先輩が締めくくり、再び竹内先輩が立ち上がった。
「ありがとう。じゃあ、入部希望の二人にも聞いちゃおうかな。まずは槙さんから」
「はい」
沙也佳は胸を張って立ち上がった。彼女は自ら希望してこの部に入るのだから、瞳も輝いている。
「私は槙沙也佳といいます。母が作家をしているので、私も書いてみたいと思って文学部に来ました。よろしくおねがいします」
よく出来た挨拶に僕は戸惑った。僕はそもそもこの部活に入ると決めたわけではない。
「じゃあ、菅原くんにも聞こうかな」
「はい……。一年の菅原悠里です。さっき部長から話を聞いて見学に来ました」
緊張して上手く喋れずにいると、となりの渡会先輩が手を引いた。
「えっ」
座れ、という意味らしい。僕は促されるままに着席した。
「だから言ったでしょう、部長。菅原くんから他の部を見学する機会を奪ってどうするんですか。競争率の高い運動部だってあるんですからね」
渡会先輩は困惑している僕を庇ってくれているのだ。僕はその時、不思議な感覚にとらわれていた。
――おかしい。心臓がずっとドキドキと音を立てている。今までこんな気持ちになったことはない。
「わかったわよ。渡会くんは頭が固いんだから」
「ふざけないでください、部長」
「まあまあ」
間に入ったのは川越先輩だ。
「渡会くんの気持ちは分かるけど、菅原くんの気持ちをちゃんと確かめたほうがいい。ねえ、君はこの部活に入る?」
川越先輩が僕に問いかけた。何故かその時、自然と僕は首を立てに振っていた。
「決まりだね」
「よーし、新入生二人ゲット!」
竹内先輩は喜んでいるが、渡会先輩は不服そうだった。