君を救いたい僕ら―愛され一匹狼の物語―
告白大作戦
文学部に入って半年。菅原悠里は渡会夏樹と共に病院での絵本読み聞かせボランティアを続けていた。先輩・後輩としての関係は良好で、部活動以外の話もするようになった。しかし、悠里は自分の気持ちを伝えられずにいた。
「ゆーり、そろそろ先輩に伝えてみたら?」
夏休みがあけて一ヶ月ほどが過ぎた頃だった。いつものように悠里の家にあそびにやってきた沙也佳が言った。夏休み中に二年生の生徒が亡くなり、学校の中はしばらく落ち着かない状態だったが、犯人が逮捕されたことで少しずつ元のような静けさを取り戻していた。
「もうすぐ文化祭シーズンだし、チャンスだと思うけれど」
確かに、文化祭シーズンはカップル成立率が高いと噂されている。気持ちを伝えるには絶交のチャンスかもしれなかった。
「でも、もし嫌われたら…」
問題は悠里が男子生徒として夏樹に接してきたことだ。ここで実は女だと告白して、今の関係が崩れるのは怖かった。
「渡会先輩は、悠里から見てそんな人なの?」
詩集をめくりながら沙也佳が呟く。
「ううん。渡会先輩はすごくいい人だから…わかってくれると思うんだけど」
「なら、告白したらいいじゃないの」
沙也佳は悠里の背中を押すように、言葉をかけた。
「言葉にしないと、何も始まらないよ」
「ゆーり、そろそろ先輩に伝えてみたら?」
夏休みがあけて一ヶ月ほどが過ぎた頃だった。いつものように悠里の家にあそびにやってきた沙也佳が言った。夏休み中に二年生の生徒が亡くなり、学校の中はしばらく落ち着かない状態だったが、犯人が逮捕されたことで少しずつ元のような静けさを取り戻していた。
「もうすぐ文化祭シーズンだし、チャンスだと思うけれど」
確かに、文化祭シーズンはカップル成立率が高いと噂されている。気持ちを伝えるには絶交のチャンスかもしれなかった。
「でも、もし嫌われたら…」
問題は悠里が男子生徒として夏樹に接してきたことだ。ここで実は女だと告白して、今の関係が崩れるのは怖かった。
「渡会先輩は、悠里から見てそんな人なの?」
詩集をめくりながら沙也佳が呟く。
「ううん。渡会先輩はすごくいい人だから…わかってくれると思うんだけど」
「なら、告白したらいいじゃないの」
沙也佳は悠里の背中を押すように、言葉をかけた。
「言葉にしないと、何も始まらないよ」