君を救いたい僕ら―愛され一匹狼の物語―
「それでは、演劇大会の演目はシンデレラにします」
夕日町中学校では文化祭でクラス対抗の演劇大会を行うことになっている。悠里と沙也佳が所属するクラスでは多数決でシンデレラを上演することが決まった。
「台本は文学部の槙さんにお願いしていいかな」
「いいわよ」
学級会長・林康太の問いかけに沙也佳は笑顔で答えた。
「主役のシンデレラ役だけど、みんなは誰がいいと思う?」
「もちろん男子でしょ!」
一人の女子が声をあげた。
「そうよね。女装すると優勝できるってジンクスがあるんだもんね」
続けて他の生徒も意見を述べる。夕日町中学校では男子生徒が女役をすると優勝できると言われており、最近ではほとんどのクラスが女装を採用しているのだ。
「女装が似合いそうなのは、菅原くんだと思う」
「そうだね」
女子たちは悠里を見て盛り上がっている。
「え?僕?」
戸惑う悠里を横目に、女装を回避したい男子達も賛成の声を上げ始めた。
「俺も菅原がいいと思う」
「じゃあ、菅原、やってくれるな?」
康太の強い口調に悠里は小さく頷くしかなかった。
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