君を救いたい僕ら―愛され一匹狼の物語―
良人は授業が終わって帰宅しようとする夏樹を追いかけた。
「おい」
「何?」
「森村に聞いたろ。俺に関わるなって」
「別に僕は気にしないよー」
子どものような笑顔を保ったまま、良人は夏樹の隣を歩く。
「いつまでついてくるんだ?俺はこれから塾で…」
「塾の前にうちに来ない?」
「は?」
口実を作って振り切るつもりが全く効果がない。夏樹は足を止めた。
「塾が始まるまでまだ時間あるよね?」
「…そうだけど」
まるで全てを見通しているようだ。夏樹が躊躇していると、良人は俺の手を引っ張った。
「じゃあ、決まりだ!」
そうして夏樹は良人に導かれるまま、普段は歩くことのない団地の中を進んでいった。
たどり着いた先は小さな教会だった。
「ただいま」
「おかえり、良人」
出てきたのはひとりの神父。良人の父親だ。
「友達かい?」
「クラスメートの渡会くん。すっごく優しいんだよ」
ニコニコ笑う良人に微笑み返す父親の顔はそっくりだ。夏樹はとりあえずお辞儀をした。
「渡会夏樹です」
「夏樹くんか。私はここの神父をしている来栖聖人です。息子がお世話になります」
「いえ…俺は…」
夏樹が静かにうつむいていると、良人はお構いなしに騒ぎ出した。
「渡会くん、僕が渡したクロスを大事に持っててくれたんだよ」
「あ、ああ」
どうやら来栖はそのことが本当に嬉しかったらしい。来栖の父親もニコニコとこちらをみている。
「信心深いんだね、夏樹くんは」
「いや、何て言うか…」
夏樹は何を返せばいいのかわからずにいた。そんな時、教会の扉が開いた。
「おい」
「何?」
「森村に聞いたろ。俺に関わるなって」
「別に僕は気にしないよー」
子どものような笑顔を保ったまま、良人は夏樹の隣を歩く。
「いつまでついてくるんだ?俺はこれから塾で…」
「塾の前にうちに来ない?」
「は?」
口実を作って振り切るつもりが全く効果がない。夏樹は足を止めた。
「塾が始まるまでまだ時間あるよね?」
「…そうだけど」
まるで全てを見通しているようだ。夏樹が躊躇していると、良人は俺の手を引っ張った。
「じゃあ、決まりだ!」
そうして夏樹は良人に導かれるまま、普段は歩くことのない団地の中を進んでいった。
たどり着いた先は小さな教会だった。
「ただいま」
「おかえり、良人」
出てきたのはひとりの神父。良人の父親だ。
「友達かい?」
「クラスメートの渡会くん。すっごく優しいんだよ」
ニコニコ笑う良人に微笑み返す父親の顔はそっくりだ。夏樹はとりあえずお辞儀をした。
「渡会夏樹です」
「夏樹くんか。私はここの神父をしている来栖聖人です。息子がお世話になります」
「いえ…俺は…」
夏樹が静かにうつむいていると、良人はお構いなしに騒ぎ出した。
「渡会くん、僕が渡したクロスを大事に持っててくれたんだよ」
「あ、ああ」
どうやら来栖はそのことが本当に嬉しかったらしい。来栖の父親もニコニコとこちらをみている。
「信心深いんだね、夏樹くんは」
「いや、何て言うか…」
夏樹は何を返せばいいのかわからずにいた。そんな時、教会の扉が開いた。