君を救いたい僕ら―愛され一匹狼の物語―
「会長さんに言われたとおり直したけど?」
結子は翌日胸を張って登校した。慎吾は目を丸くした。
「な、なんだ。やれば出来るじゃないか」
「当たり前だし」
しかし、慎吾にはまだ気になることがあった。
「スカートももう少し長くして欲しいんだよな。制服の下にカーディガンも禁止。それからピアスもダメ…」
「はぁ?お洒落できないとかマジ無理なんだけどー」
結子はため息をついた。
「すこしずつでいいから直してくれよ。でないとクラス全員が怒られるんだからな」

慎吾は毎日のように結子に話しかけ、服装の乱れを注意した。すこしずつ改善はするものの、しばらくすると戻ってしまう、という繰り返しが続いた。

ある日の放課後、慎吾は教室に残っている結子を見つけた。
「なあ、瀬名。その怪我どうしたんだ」
「別にぃ。転んだだけだし、会長に関係ないじゃん」
「関係あるよ。俺は会長だし、瀬名のこと、ずっと気になって」
「ナニソレ。告白みたいじゃん」
結子に突っ込まれて、慎吾は顔を赤くした。
「悪かったな、お前のこと好きになって」
「は?マジで?」
冗談と思っていた結子は驚いて飛び上がる。
「無理。だってゆーこ、彼氏居るんだよ?」
「そ、そうなのか」
慎吾はそう漏らすと静かに教室を出た。
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