【完】キミがいた夏〜Four years later〜




渚は、気でも狂っているように笑い続けていた



一見すれば、お酒で陽気になっただけにも見えるけれど…



きっと…とても傷付いている




「もう何もかもどうでもいいや…ククッ…」



そしてそのせいでこんなに酔い潰れて、そんな台詞を口にするの…



なんて残酷な人



私を目の前にして



美鈴でなくてはダメなんだと、身体中で訴えているなんて



なんてひどい…



ひどい人




だけど…




「綾香…?」




私は持っていたグラスをガラステーブルの上に置いて、渚の着ているシャツに手を伸ばすと



そのボタンを一つ一つゆっくりと外し始めていた






< 101 / 286 >

この作品をシェア

pagetop