【完】キミがいた夏〜Four years later〜
胸が何かで締め上げられたようにギリギリと痛みを訴える
そんなの…
「…っわかってるよ…どうしてそんなこと…今さら…」
私は駄々をこねてオモチャをねだる子供のように渚の両腕を掴んで揺さぶっていた
「ねえ、お願い抱いて…」
気持ちが届かない
どうしたって受け入れてもらえない
バカなことをしているのはわかってる
けれどバカでも情けなくても構わない
私も渚がずっと欲しかったんだから
美鈴みたいにすぐに諦めたりしない
渚はすがり付く私を押し返すと更に強い拒絶をしてみせた
「美鈴の大切な親友を傷つけるわけにはいかないんだよ…」
「…っ…」
「他の誰を抱いても綾香だけは無理だ…」
どうして
どうして
どうして
私は悲しくてどうしようもなくて、半ばヤケクソで自分の服に手を掛けて脱ぎ始めた
「綾香!」
渚はすぐに私の両手を掴んで止めようとするけれど、私はその手を避けるように立ち上がると大きな声で叫んでいた
「今さら美鈴に何を義理立てする必要があるの!?」