【完】キミがいた夏〜Four years later〜
そんな俺たちの間の薄い膜を裂くように掛けられた声が聞こえてそちらの方に視線を移す
「指名が入りました」
抑揚のないその声に導かれるように、ゆっくりと振り向きながらその人物を瞳に捉える美鈴
そこには虚ろな目をした三池が立っていた
美鈴は三池を見つめて、安心したように小さく頷く
─────気に入らない
その瞳が俺以外を写すのは気に入らない
その瞳も髪も体も全て俺のモノだっただろう?
─────誰にも渡さない
突然襲ってくる嫉妬心で目の前が真っ黒に塗りつぶされていく
俺は咄嗟に、美鈴のポーチを持っていない方の手を掴んでいた