【完】キミがいた夏〜Four years later〜
「美鈴は…ずるいよ…」
私はいつの間にか流れ出した涙が頬を伝っていくのをそのままにして、高校生の時のことを思い出していた
ああ…
いつかの久美の気持ちが手に取るようにわかる…
何もしない美鈴
けれど全てを手にしてしまうことに腹を立て
お門違いの嫉妬をして
でもこんなことを思う自分が一番無様で
情けなくて
きっと久美はそんな自分に泣いていたんだ
美鈴は私の顔を見るとクシャリと顔を歪めた
私は今、さぞ醜く酷い顔をしているのだろう
「…っごめんなさい…私…帰るから…!」
美鈴は怯えるようにそう言って立ち上がると、リビングの扉に向けてヨロヨロと歩きだした
「美鈴!?…待って、送るから!」
渚がすぐに美鈴の腕を掴もうと手を伸ばしたけれど、美鈴はその手から逃れるように身を引いた