【完】キミがいた夏〜Four years later〜
軽快なクラクションの音が辺りに鳴り響く
正門近くにいた学生達は皆、音の方向に一斉に顔を向けていた
いや、音だけが原因ではないだろう
そこに停まっていたのは、学生街には似つかわしくないほど派手で人目を引く代物
それは良く晴れた今日みたいな日には彼女でも乗せて走ってみたくなるような真っ赤なオープンカー
そしてその運転席には、そのオープンカーに乗るために生まれて来たかのような妖艶で美しい女性が乗っていたのだから注目を浴びないワケがなかった
サングラスで顔を隠したその女性
いつもならもう少し気を取られていたかも知れないが今日は違う
そんなモノに見とれる気力もなかったし、何より突然襲ってきた眠気に欠伸をしながら俺はその車の横を足早に通りすぎようとした
「彼氏~、お茶しない?」
え……?