【完】キミがいた夏〜Four years later〜
ママは焦る俺を気にした様子もなく、勢いよくエンジンを吹かすとオープンカーをゆっくりと発進させた
「何なんですか急に!?」
オープンカーだけに周りの音に掻き消されないよう、少し大きめの声で隣で運転するママに声を掛ける俺
「何って、ナンパよ!逆ナン!されたことないの?」
「は…?」
そう言いながら、ケタケタと子供のように笑っている
いや、そういうことじゃなくて…
「それに、あたしはあなたのママじゃないわよ!
沙羅って呼んで!」
「…は、はあ…」
それって本名?源氏名?
そんな疑問が浮かんだけれど聞かないでおいた
とりあえずシートに身を預けて、小さく息をつくと
この非現実的なドライブに戸惑いながら、流れる景色に目を向けた