【完】キミがいた夏〜Four years later〜
初めて乗るオープンカーは、真夏の太陽と心地のよい風を体いっぱに受けて思いの外気持ちよかった
ただ暑苦しいだけかと思っていたけれどそうでもない
平日の3時すぎという時間帯もあって、車は軽快に道を進んで行く
そうやって暫く流れる景色を楽しんだ後、しごく当たり前のセリフを口にした
「どこに向かってんですか…?」
確かこのセリフ…
美鈴も言ってたな…
「どこ連れてって欲しい?」
「うーん…」
あ…
なんかまずいなこれ…
あまりにもポカポカ陽気に瞼が重くなっていくのを感じる
「あら?眠いの?着いたら起こすから寝なさいよ」
隣から聞こえる、ママ…いや沙羅さんの声が呪文のように耳の奥で響く
「おやすみ」
沙羅さんのそんな呟きを遠くに感じながら、回りの景色が遠く霞んでいった