【完】キミがいた夏〜Four years later〜
「あのこが本心で他の人を選ぶなら…
私はね…それでもいいと思ってた…
現に、『大切な人』の話しは、美鈴を拾ってきた夜にしか口にしなかったし…
ヒロヤに出会って、美鈴の心が落ち着いている気がしたから…」
三池を見つめる美鈴の瞳は確かに信頼しているような…
そんな安心感のようなものを感じた
「けどね…
ある夜に聞いちゃったの」
沙羅さんが意味ありげに俺を見つめる
俺はその視線の意味がわからなくて眉間にシワを寄せていた
聞いたって…
何を?
「酷く疲れてお店のソファーで眠ってしまった日…
あのこ…眠りながら苦しそうに呼ぶの」
『橘先輩───』
沙羅さんは持っていた携帯灰皿にタバコを押し付けた