【完】キミがいた夏〜Four years later〜




「すごいね、この車…」



私は黒塗りの高級車の革張りのシートに身を預けながらため息をついていた


確か、あの海で乗っていた車と一緒だ


ベンツだよね?


座り心地いいなぁ…



「この車は俺のじゃないよ、沙羅さん…ママの車」


「そうなんだ…」



『沙羅さん』


ママって沙羅って言うんだ…


美鈴は確か『アサミ』



「どうして美鈴って『アサミ』なの?」



沈黙が嫌で、そんなどうでも良さそうなことを不意に聞いていた


三池くんもそれを察したように前を向いたまま質問に答えてくれる



「何か、ちょうど美鈴が入った時に女の子がやめて、その子が『アサミ』っていう名前を使ってたらしいけど…
詳しいことは知らない」



三池くんが『美鈴』と言った


婚約者なんだから当たり前なんだろうけど…


それにしても


三池くんて、ちゃんと話し出来るんだな…


高校の時は見てるだけだったから意外…






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