【完】キミがいた夏〜Four years later〜
■4年後■

side 渚


***side 渚***



海でひた向きに何かを見つめている少女



彼女は夏の始まりの早朝、唐突に海に顔を見せるようになった



俺のことを見に来る女の子は珍しくない



毎日、うんざりするほどの女の子の声援



別に嫌いではないけれど、彼女はそのどれとも違って見えた



いや、最初は自分を見に来ていると勘違いしていた



けれど彼女は俺がサーフィンでどんなパフォーマンスを見せてもその綺麗な顔を緩めることはなく



ただひたすら海を見つめていた



その顔に色はない



薄くくぐもった瞳はひたすら前を見据えていて



それは何かを求めているようにも思えた



< 2 / 286 >

この作品をシェア

pagetop