【完】キミがいた夏〜Four years later〜
■4年後■
side 渚
***side 渚***
海でひた向きに何かを見つめている少女
彼女は夏の始まりの早朝、唐突に海に顔を見せるようになった
俺のことを見に来る女の子は珍しくない
毎日、うんざりするほどの女の子の声援
別に嫌いではないけれど、彼女はそのどれとも違って見えた
いや、最初は自分を見に来ていると勘違いしていた
けれど彼女は俺がサーフィンでどんなパフォーマンスを見せてもその綺麗な顔を緩めることはなく
ただひたすら海を見つめていた
その顔に色はない
薄くくぐもった瞳はひたすら前を見据えていて
それは何かを求めているようにも思えた