【完】キミがいた夏〜Four years later〜
やっぱりここも夏休み入ったことで、いつもより賑わっている
大騒ぎする人と笑い声
俺に掛けられた声はそんな回りの騒音に掻き消されないように、少し大きめに響いた
その声を聞いて、再び美鈴の体が強張っていくのを感じる
「おい?そこにいるの渚だろ?
何してんだ?そんなとこにいないで中に入れよ~
ちょうどピークも過ぎたし…」
俺は美鈴を背中に隠して、その人物にゆっくり振り返った
「トビーさんひさしぶり」
そう
俺が来たのはテイクオフ
美鈴もずっとここで働いていたから思い出は多い筈だ
一緒に生活していたんだから、ある意味俺より密な関係を築いているかもしれない
「…お前、誰かと一緒に来たのか…?」
トビーさんが俺の背後を覗き込む様な仕草をして、顔を密かに曇らせる
俺がまた女遊びをしてると勘違いしているんだろう
けれど俺の後ろの女性に遠慮して、それ以上の追求を出来ずにいるといった所だろうか
なんともトビーさんらしい
俺はトビーさんの問いかけには答えずに、後ろを振り替えると
俺の背中でで小さくなっていた美鈴の肩を掴んで、トビーさんの前に押し出した