【完】キミがいた夏〜Four years later〜
トビーさんは、焦った顔をして俺に手刀をきる
トビーさん
正解だよ
俺がここに連れてくるのは後にも先にも美鈴しかいないんだ
美鈴の俯いていた顔が、トビーさんの言葉に反応してゆっくりと上げられる
その途端に今まで笑っていたトビーさんの顔から笑顔が消えた
瞳を見開いて何か言いたげに口をパクパクさせている
けれど声になっていない
美鈴も美鈴で自分の胸の前で自分の手を握りしめたまま動かなかった
「──美鈴ちゃん!!」
やっと出た言葉とトビーさんが美鈴の前に走っていったのはほぼ同時で
「ホントにホントに美鈴ちゃんなのか!?」
美鈴はトビーさんに両肩を掴まれながら、泣き出していた
「…ヒック…ごめんなさ…ごめん…なさい…ヒック…」
「……元気だったの?
いや…本当に…よかった…」
「…うう…ごめ…な…」
「大丈夫…謝らなくていいんだよ…」
トビーさんの瞳に涙が浮かんでいる
自分の娘を目の前にしたように優しく美鈴の頭を何度も何度も撫でていた