【完】キミがいた夏〜Four years later〜
ヨロヨロと頼りなく開くテイクオフの扉
けれどそこから誰も顔を出さない
「あら…そうだわ…お店で遊ばせてたの忘れてた」
美鈴と話していた都さんがそれに気がついて、涙を拭いながら扉の方を愛しそうに見つめる
「ああホントだ…忘れてたな」
トビーさんも同じ様な顔をして扉に近づくと、少し屈んで小さなその手を取ってこちらに歩いてくる
その横顔は普段の数倍優しい
「あー!なぎしゃー!」
クリクリした瞳は俺を見つけると、トビーさんの手を離して俺に向かって勢いよく走ってきた
「…あっこら!」
「なぎしゃー!あそぼ~」
「よーし、遊ぼうな~」
「海──!」
俺はその小さな男の子を抱き上げた
「俺より渚になついてんじゃねーか?」
そう
この子はトビーさんと都さんの間に産まれた子供
俺は海を抱えたまま都さんと驚く美鈴の側に近づいて、海を足元に下ろした