【完】キミがいた夏〜Four years later〜
もちろん俺も高校卒業と共に運転免許は取った
友達とサーフィンをしに遠くの海をいくつも回る為だ
実際に親父の車を借りて、いくつもの海を回った
でもそれは建前で、本当はいつか帰ってきた美鈴を助手席に乗せて、色んなところに連れて行ってやりたい
そんなバカみたいな動機で運転免許を取ったなんて誰にも言っていないけれど
「渚は車で最近どこか行った?」
少し運転に馴れてきた様子の綾香が、前を向いて真剣な表情のまま話しかけて来た
「いや、最近は行ってないかなぁ…」
「今度は渚の運転でどこか連れてってね」
「……そのうちな」
素直に頷けない自分の気持ちを悟られたくなくて、話題をやんわりすり替える
「これ、どこに向かってんの?」