【完】キミがいた夏〜Four years later〜
どうしてこいつがここにいる?
どうして美鈴とこいつが一緒にいる?
俺は額から嫌な汗が吹き出していくのを感じた
信じられない…
いや、信じたくない
その男は近くにいる俺に気がついて一瞥すると少し驚いた様に目を見開いた
「行きましょう」
美鈴の高く澄んだ声が響く
4年ぶりに聞くその声に俺の心は震えていた
やっぱり彼女は美鈴なんだ
そう思うだけで胸が張り裂けそうになった
美鈴はそんな俺を気にした様子もなくその男の腕を取ると、容赦なく俺に背中を向ける
止めようと足を出したいのに、声を出したいのに
体が思うように動いてはくれない
────トンッ‥‥……!!
「お待たせ!」
そんな俺の背中を勢いよく叩いたのは綾香だった
「あ…」
「いやぁ~お店の人と話し込んじゃって遅くなっちゃったよ~」
何も知らない綾香の弾んだ声が響く