【完】キミがいた夏〜Four years later〜
私はヨロヨロとした足取りで渚に近付くと、その肩に手を置いて揺さぶった
「渚…どういうこと?何があったの?美鈴って…」
そこまで言ったところで言葉を止めた
渚の顔を見てそれ以上、何も聞けなくなったと言った方がいいかもしれない
渚のその顔はいつか見た
絶望の色を称えていたから
どうして…
美鈴と逢えた筈なのにどうしてそんな顔をしているの?
その顔をするのは私でしょ?
渚に受け入れて貰うことも、諦めることも出来ない
そして本当に美鈴が帰って来たんだとしたら、私は…
私は渚の肩から手を離し、しばらく渚の横で同じようにして座り込んでいた
海から吹く風は、全てを拭い去るように静かに私たちの間を通りすぎる
遠くから聞こえる子供達の笑い声が、いつかの夏の日を思い出させてくれるよう
どれぐらいそうしていただろう
私は今度は静かに渚に話しかけた
「渚…もう帰ろう?」