【完】キミがいた夏〜Four years later〜
どうしてですの?
意地を張らずに戻っていらっしゃいな
『私はどうしてだか分からずに…美鈴様にそのままその気持ちをぶつけましたが、美鈴様は静かに首を横にふってお話になりました…』
──今、お父さんは仕事に出かけているの
日雇いの小さな仕事だけれど
やっと自分の力で再び歩き出そうとしてる
今ここで、誰かの支援を受けてしまうと…忽ち元のお父さんに戻ってしまうから…
だからごめんなさい…
そちらには戻れない
『美鈴様のその顔は穏やかでしたが、強い決意の様なものを感じることが出来ました
私もそれ以上無理じいは出来なくて…』
──渚様のことは心配ではないんですの?
『私は最後に思わずそんなことを聞きました…
今思うと…なんて残酷な質問でしょう…気にならないわけがないのに…
けれど予想外に美鈴様はとても晴れやかな笑顔をしていて…』
──橘先輩は大丈夫
あの人は私が居なくても立派な人生を歩んでくれる
そんな太陽の様な人だから
だから私のことを言って困らせたりしないで
どうか私達をそっとしておいて…
『私は美鈴様と約束をしました…このことは渚様には伝えないと…』