【完】キミがいた夏〜Four years later〜
「用意があるので失礼します」
「美鈴!?ちょっと待ってよ!」
美鈴は握っていた綾香の手を払いのけ、呼び止める綾香の制止も聞かずに、さっき出て来た方へと歩いて行く
「美鈴…もういいの…?」
ママの前に差し掛かった時、不安気にママがそう声を掛けたけれど、美鈴の勢いはそれでも止まらなかった
何かを振り払う様にドンドン奥にあるカーテンまで歩いていく
けれどカーテンに手を掛けると美鈴の動きが止まった
そこに誰かが立っていたようだ
「ヒロヤ!?どいて!」
─────!?
美鈴はイライラした口調でそう言うと、そこにいた三池を押し退けて奥へと消えて行った
そのカーテンから三池の顔が不意に覗いた
その瞳は
美鈴と同じ
くぐもった悲しい目をしていた