【完】キミがいた夏〜Four years later〜
けれど美鈴の口から出たのは思っていた言葉とは別のものだった
「名前…」
「え?」
「橘先輩のこと…名前で呼んでるんだね…」
「あ…」
美鈴はすぐに表情を戻して笑ったけど、ショックを受けてるいるように見えた
そりゃそうだよね…
いくら時間がたったからって、私が呼び捨てにしてるなんてびっくりするよね
「あ、あのね…」
私は何とかその場を取り繕おうと言葉を探した
何て言おう…
何て…
「あの、何て呼んでも言いって言ったから…」
そんなの嘘だ
「だから、言いやすかったし…」
本当は違う
私がそう呼びたくて…
呼びたくて
「綾香…」
美鈴よりも渚に近づきたくて…
「あなた…橘先輩のこと…」
気が付くと私の瞳から涙が溢れ出していた