【完】キミがいた夏〜Four years later〜
私はそれが合図のように、4年間押さえてきた思いが涙と共に溢れ出していく
「…っ美鈴…お願い…」
俯いた瞳からパタパタと涙が滴となってスカートを濡らしていく
「渚を…連れて行かないで…」
美鈴はきっと失望しているだろう
親友みたいな顔して引っ付いて
心配してるみたいな顔をして
密かに渚に気持ちを寄せている最低の女だと思っているかもしれない
けれどそれも仕方がないかもしれない
それは本当のことだし
私は渚を諦めきれないし
そう思って俯いていた顔を上げて美鈴を見たけれど
意外にも美鈴は優しい顔をしていた
「…美鈴…」
「綾香、心配しないで」
「え…?」
「綾香の邪魔はしないから」