【完】キミがいた夏〜Four years later〜



ママがカーテンで仕切られた向こう側に消えると、何かを話す声が密かに聞こえた



美鈴が俺を待っていた?



この間の態度を見る限り、俺を待っていたとはとても思えない



だとすると…?



そんな悪い予感を頭で打ち消しながらも、俺の中に言い様のない不安が込み上げてくる



暫くするとカーテンの向こうから小さな物音がして、カーテンがスッと引かれた



そしてその人を目にして、自分の予感が的外れではないことを感じる



顔を出したのは



前回よりももっと沈んだ顔をした美鈴



決して歓迎されているものではない



けれどそれとは裏腹に俺の気持ちは彼女を目にした瞬間、高揚していた



彼女が目の前にいるという事実だけで今はいい



そう思うと、自然に笑顔が溢れてきて美鈴に笑いかけていた



< 87 / 286 >

この作品をシェア

pagetop