譲りアイ


「席に座ったらシートベルトつけるの忘れるなよ―?」


担任の先生がうるさいほどバスの中で怒鳴る。

バスに乗ったあたし達は、一番後ろの5席あるところを選んだ。



「あ、俺窓側!!」


「まったくサッキーったら、しょうがないなぁ…譲ってあげるよ。」



そう言ってあたしは窓から二番目の席に座った。
そしてサッキーが窓側になった。



「俺窓側じゃねぇと酔うんだ。」


「そうなの?知らなかった。」


「俺ここね。」



そう言ってあたしの隣を取ったのは予想外のガクだった。
ガクはバックを上の棚にしまって、あたしの隣にドカッと座った。



だから席はサッキー、あたし、ガクになった。



(も―!なんでよりによってガクなの!?)



「おー、ガク!俺が酔ったらおまえに吐く事にするぞ!」


「キメぇよ!吐くならルイに吐けってww」


!?


「は!?な、なんであたしッ!?」



バッと勢い余ってガクに向かって立ちあがる。

ガクは、別になんのリアクションもなく私を見る。



目が合うけどなんだかんだ言って目が離せない。


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