ナガレの騎士 ~光の竜と呪いの姫~
「分からない、とはどういうことでしょうか」





「・・相手を見た事はないの。
でも、あと3日でアンジュを見つけないと・・・私たちの住む場所が無くなっちゃうの・・・。



・・っどうしよう・・・もう、時間がないのに・・・!」





泣き崩れる少女の肩を優しく撫でるシャーロット。
プルートは黙り、腕の中にいるティティも、大人しく少女をじっと見つめている。



(・・どうやら、帝国行きはもう少し先になりそうだな)



心の中でそっと息を吐く。



(・・・ま、いっか)




「場所を移そうか。話はそこでゆっくりしよう」



当然のようにそう言って立ち上がる俺に、シャーロットは不思議そうだ。
・・いや、不思議そうというより、何を言ってるんだ、という顔。





「ここは森の中ですよ?」





「この子が1人で森の中に入ってこられるって事は、
よっぽど森に詳しいか、街が近いかのどっちか。

でも今の話しぶりだと、おそらく毎日家にきちんと帰っている」






「家族が危ないっていう時に、森で遊んでいるなんて言う事も、ないだろうしな」




俺がシャーロットを見て話していたら、少女がゆっくりと顔を上げる。
彼女はうなずき、立ち上がった。




「・・・こっちよ、ついてきて」





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