ナガレの騎士 ~光の竜と呪いの姫~
ガチャ。



「すみません、遅れてしまって」
「!いいえ!大丈夫ですよー」
「わざわざ配達ありがとうございました」
「仕事ですから!それでは、またご利用ください」




ぺこ、ときっちり礼をして、配達員はバイクに乗って去って行った。




1人はふぅーっと息を吐いてドアを閉め、
顔にぐしゃぐしゃっと手を当てる。




「・・うぁー、ゴホンゴホンっ」



「風邪か?」




「・・んーん。女の声は出しにくいんだよ。喉痛い・・」




そう言って、髪の毛に手を掛けると、
ずるっと落ちて、真っ黒な髪が現れる。



つけていた化粧も全てとり、服もあっさり脱ぎ捨ててしまった。
コンタクトもカラーだったのか、黒色の瞳から金色の瞳があらわになる。



1人は全身真っ黒な服にあっという間に着替えると、
ドッカリと猫の寝ていたソファに座った。






「ッ!?おまえはっ・・・!何すんだ!」




「別にいーだろ、ここは俺の家。ティティだけの場所じゃない」




ティティ、と呼ばれた猫はたちまち眉間にしわを寄せ、嫌な顔をする。




「・・その名で呼ぶな」


「いいじゃんか、可愛いし。
少なくとも俺といる限りその名前で呼ばせてもらうよ」




「・・・・」




「納得いかないって顔だな」



にんまりと楽しそうに見つめていれば、
じぃーっと青い瞳が睨んでいる。




「・・いつか絶対喰う、おまえ」




「あっそ。それは楽しみですコト」




物騒な台詞に動じることもなく
ははっと笑いながらぐりぐりーっと彼の頭をなでた。



白い毛がふわふわと揺れて毛並が逆立つ。



「・・・ッッ、やめろ!鳥肌が立つ!」




「猫なのに?」




「・・関係ない。俺は猫でもない」




拗ねてしまったティティなど丸無視で、
1人は配達人から受け取った手紙を眺めていた。










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