ナガレの騎士 ~光の竜と呪いの姫~
「見ててよ?」





するとピアスは手紙に手を伸ばし、すううっと手を当てる。
押しあてた手がこすれていくと、そこから小さな火花が生まれた。



するとさきほどまでなかったはずの押印が表れる。
ティティは一瞬目を見開くも、すぐにピアスに視線を移す。




「ドラゴンの押印・・・またおまえなんかやらかしたのか」



「やらかしてたら手紙なんか送ってくるわけないだろ。今頃あの世だ」



「じゃあ?」



「これも見なかったらそれに相当することはされそうだけど」





そう言って手紙を開く。
中につづられていた言葉は実にシンプルなものだった。






「で?」
「・・ふぅん。よかったな、ティティ。
もう少し一緒にいられるみたい」
「答えになってねーんだよ。見せろ」









【クロア・メルヴィン様。



至急、この地点へ向かってもらいたい。
話については到着時点で確認をとらせていただく。



期限は3日。
なお、この要求への不参加は認められない】





じぃっとそれを追って読んでいると
はーぁとピアスが手を上げて立ち上がった。
すたすたと歩くとキッチンにあるコーヒーを入れ始める。







「嫌な手紙だ。
参加しなければ‘‘殺す’’と言ってるのに、ご丁寧に「様」まで付けて」




「うわべだけなんだろう。
確認までするくらいだ、本当に用心深いんだな」


「そんなおかしな手紙を書くくらいならストレートに言ったらいいと思うけど」




そのほうがずっと面白いのにな、とぼやくピアスを見つめるティティの表情は苦い。



すると一点を見つめて目を見開く。





「差出人の名がない・・・・匿名?」
「・・ま、それもこれも全部行けばわかるってやつだよ」







ズズッとコーヒーを口にする。
その様子をティティはまたじっと見る。






「何?」





「で、行くのか、‘‘クロアさん’’よ」





その言葉に彼はにっこりと笑んで--------------








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