ひきこもり女学生の脳内断面図








私たちの目に映りこんだのは、背広を着た一般男性の姿。あれはどう見たって女性のシルエットではない。







少しぽっちゃりとしたような背広姿の男性が、私たちの目に焼き付いてやまない。







はたから見れば夫婦、恋人同士に見えなくもない。やはり浮気相手なのか。








「やっぱり・・・浮気だったってこと!?どうしようお姉ちゃん」







私がわたわたとお姉ちゃんの隣でそう言うと、お姉ちゃんはぐっと拳を握った。







「・・・まだあきらめちゃいけねえ、行くぞ!」







「え、どうするのさ!」







「あの男を、とっ捕まえんだよ!」








怒りに燃えたぎったお姉ちゃんは、私の手を乱暴に握ると、そのまま本屋のエスカレーターを飛び越えるように登っていく。






「ひいぃぃ。速いよぉぉ」







そのお姉ちゃんにつられた私は、ハードル走に無理やり参加させられたかの如く、足がおかしなことになっていた。







泣き泣きの顔で私は、お姉ちゃんのスピードにされるがままになっていたのだ。


















< 104 / 303 >

この作品をシェア

pagetop