ひきこもり女学生の脳内断面図
「こんちわ」
いつもの麗しの王子スマイルで加藤王子が爽快な風と共に私の前に現れてくる。
教室に入るときにちらっとめくれる上着が、さらに私の胸をかき乱す。先生はどこまで私をときめかせる気なのか。
先生よ、答えてくれ。
そうしていつも通り「ハッ」と胸をときめかせる。いつもの通り加藤キチガイは健在だ。
そうして小心者の私、黙って首をカタカタ動かす。「はい、こちらこそこんにちは」の意を込めて、だ。
おそるおそる先生の目を見上げると、私に答えるようにニッと笑う先生。
私はさらに恥ずかしくなってさささっと目をそらす。恋する乙女に恥じらいはつきものなのだ。
無論先生は私のことを「恋する乙女」などとはみじんも思っておらず、「変な子だな」と思っているに違いない。
小心者、のフレーズはだいぶ繰り返して飽きているであろうから、今日はその「大胆な作戦」について詳しく述べることにしよう。
そういうわけで加藤王子の麗しさを延々と語りたい気持ちは抑え、授業のシーンは省かせていただこう。