ひきこもり女学生の脳内断面図
「あれ、気がついたの」
「わわわわ!」
唐突に人の声がするから、私は思わず驚いてしまった。
まさかこの乗り物の正体は・・・人だというのか。
よくよく見てみれば、立派な人の背中ではないか。
「よかったぁ。急に倒れちゃうから、びっくりしたよ」
「す、スミマセン・・・」
こんな通りすがりの変人を助けてくれるなんて、どこの国の貴族であろうか。
「このまま病院に連れてっちゃおうと思ったんだけど・・・」
「あ、大丈夫です。ありがとう・・・助けてくれて」
私がそう言うと、その人は半分顔だけ振り返って笑った。
「よかった。また値引きしてあげるから」
「値引きって・・・えっ!」
加藤先生にそっくりな顔が、私の顔のすぐ近くでほほ笑みかけたのだ。
「もしかして、スーパーのお兄さんですか」
「そうそう」
あまりの衝撃に、私は再び意識を失うかと思った。