ひきこもり女学生の脳内断面図
熱があったのか。
普段風邪をひいたりすることがない私は、彼に言われて自覚した。
今日の大胆な作戦を実行したのも、まさか熱を出したせいだったのか。
なるほど。小心者があんな作戦、熱でも出さねば実行できるわけがあるまい。
加藤先生にそっくりなスーパーのお兄さんは、私を背負ったままゆっくり歩いて行く。
その背中は広くて大きくて、不思議なまでに安心感が漂う。
そういえばいつだったか。
彼に初めて会った時「初めての気がしない」そう思ったのは。
この安心感が「初めての気がしない」と言う感覚に結びついているのではないか。
そうしてその「安心感」とは、私が普段誰から感じているものなのか。
それがわかれば、このお兄さんの正体がわかる。
彼の背中に身を任せている私は、そんなことを考えていた。