ひきこもり女学生の脳内断面図
熱でおかしくなっているのか、私は彼の耳元でこんなことを言いだした。
普段から奇人であることは、言うまでもないのだが。
「あのね、今日いいことがあったんですよ」
「へえ、どんなこと?」
律儀なスーパーのお兄さんは、優しい声で聞き返してくれる。
「好きな人とね、お話ができたんです。私ね、ちょこっと変なところがあるんだけど・・・でもね、今日もその人、笑ってくれたんです」
「そうなんだ。好きな人、いるんだね。どんな人なの」
意外にも彼は、さらに話に聞き返してくる。熱でぽえぽえ状態の私は、何も考えずに答えた。
「とってもとってもかっこいい、予備校の先生なんです。お兄さんにそっくりで・・・」
そこまで口に出したかと思ったら、猛烈な睡魔が奇人を襲う。
彼がなんて答えたか聞き取れないまま、私はその温かい背中の上で眠ってしまった。