ひきこもり女学生の脳内断面図
二人は話をしながら、また歩き出した。
静かな商店街に、お兄さんとお姉ちゃんの声が響く。
その背中で何も気づかない私は、完全に夢の中である。
そんな私に構うことなく、二人は話をやめない。
お互い気になることが、あるのだろう。
「お前、アキのこと前から知ってたろ。お前みたいな小心者が倒れかけた人を助けるなんて、やすやすできねえはずだし」
「いやまあ・・・前からスーパーで見かけてて。可愛かったからさぁ」
「まさかあたしの妹とは思わなかったってか。コイツは大人しいだけだよ、あたしと違ってな」
お兄さんは照れ笑いをしながらそう言うと、お姉ちゃんは「ケッ」と面白くなさそうな顔をした。
「そういえば・・・この子さっき好きな人がいるって言ってたな。熱出したのも、恋煩いだったりして」
「マジ?誰誰、どんな人だって?」
「なんかね・・・僕に似てるかっこいい予備校の先生だって。僕に似てるって、そんなにかっこいいかなぁ?」