ひきこもり女学生の脳内断面図
普段から馴染みのある商店街を抜け、私は街の外れの方まで歩いてきていた。
同じ地名であっても来たことのない場所と言うのは、いつだって未開の地である。
私が住んでいる中心部と違って、このあたりにはさびれたお店や一戸建ての住宅が多い。
すぐ横には大通りがあり、たくさんの車の往来によりコンクリートの地面がうなっている。
「ほうほうこんな場所もあったのか」と感心しながら街を歩く私。
そんな私の気の抜けた目に、目を疑うものが飛び込んできたのだ。
思わず足が止まる。ついでに呼吸も少し止まる。
「ヘアーサロン カトウ」
私のビビッドピンクな心は、その美容院の看板にわしづかみにされたのだ。
まるで天使に心を射られたようである。