ひきこもり女学生の脳内断面図
改めて看板をぐいっと見上げた私は、目をぎらぎらさせる。
「先生、これは運命でしょうか!そうでしょう、そうなのです!」
思わずそう叫んだ私は、胸の前でさっと手を組み、例のごとくぽんわかと頬を赤くする。
一瞬乙女チックになったかと思いきや数秒後、すぐに奇人に切り替わる。それが私だ。
「へっへっへぇ。もし髪切ったら先生、驚くかなぁ・・・」
例のごとくよだれを滴らせる妄想変人。にやけた顔の隠し方を、いい加減誰かに教わりたいが。
ここで言う「先生」とは加藤先生ではなく、加藤先生の紙人形のことであることを付け加えておきたい。
どこからどこまで、呆れた変人なのであろうか。
紙人形にまで本気で気持ちを入れ込んでしまうとは、重症を通り越して精神病の危篤状態なのではないか。
「よし!」
そのまま私は迷わずに、勢いよくその美容院のガラス戸を引いた。