ひきこもり女学生の脳内断面図
とりあえず作戦成功を迎えるためには、自らも腰を上げねば。
目に見える限りでは、先生は今、私より参考書に注意を向けているらしい。
予備校の講師なのだから、そんなことは当然なのだが。
恋する乙女は、いつだって好きな人に自分を見てもらいたいのだ。それは万人共通の願望だろう。
そう思った私は、小心者の自分を励ますようにして、渾身のウインクをしてみることに決めた。
どうしても先生に気づいてもらいたい。
「ウインク」というさりげない動作のひとつにも命をかけねばやってられない。
キチガイもなかなか、生きるのに困難を伴うものなのだ。