ひきこもり女学生の脳内断面図
長い髪があったからこその服装だと思っていたのは、自分だけだったようだ。
それから浪人生と当たり障りのない話をした私は、すぐに本屋をあとにした。
こう見えて病みあがりだったことを思い出した私は、翳る体調を気にかけながらすぐに行きにのった地下鉄に乗る。
あの浪人生は結局、私の髪型には一切話を持ち出さなかった。
彼にとって私は髪が長くても短くても、どんな格好でもどんな人を好きでも、大した問題ではないらしい。
自分そのままの姿を見出してくれたような気がした私は、安心しきって車内で一人つぶやいた。
「髪が長くても短くても、私は私のままだよね・・・」
私が千宿に来る前に考えていた「答え」を、彼がくれたような、そんな気がした。
山賊頭でもきっと、自分の好きなものは変わらないのだ。
「好きなものに理屈なんて要りますか」いつかそう言っていた自分がいたことを思い出す。
「ありがと、ジロー・・・」
そうして安心しきった私は、電車の座席に座ったまま、眠りこけていたのである。