ひきこもり女学生の脳内断面図
「どうかしたんですか。さっきから、目が見づらそうだけど・・・」
そう言った私は自分の言った言葉を改めて確認するように、中腰状態の彼の顔の位置まで腰を下げた。
そこで驚愕の事実を目にする。あまりの衝撃に、顎が落ち過ぎて外れそうな勢いである。
「うん、今日はコンタクトにしたんだけど右目の方がなくなっちゃって。今探してたんだ」
なんと加藤先生にそっくりなスーパーのお兄さんは、メガネをしていなかったのだ。
こうも心を上げて下げて揺さぶられては、鼻血のひとつでも出さねばやってられない。
そう思った私は、ハゲシク脈打つ心臓を右手でつかむようにしてこらえた。
この世で好きな人(に似ている人)のメガネを外した顔ほど、うまいものはない。
ここまで来て私は半ば、よだれ垂れ流し状態に近い。